専門家からのメッセージ

夫婦とは、究極の異文化コミュニケーション QOMで夫婦という異文化のカルチャーショックを受けてほしい 日本コミュニケーション学会会長 宮原教授

写真 / 宮原哲(みやはら・あきら)

宮原哲(みやはら・あきら)

西南学院大学教授
日本コミュニケーション学会会長
JUCA(日米コミュニケーション学会)会長

【プロフィール】
専門は対人コミュニケーション学。授業、企業研修、講演を通じてコミュニケーションの難しさ、楽しさを理解する活動中。著書に「ニッポン人の忘れもの」、など。

現代社会において、結婚はどのような意味を持つのでしょうか?
男と女が共に生活するのが結婚ですが、そもそも男と女というのは生物学的な定義の違いに加えて、文化的な違いもあります。「男らしさ」と「女らしさ」は、成長していく過程で、それぞれが置かれる文化から形づくられていくものです。つまり男と女は全く異なる文化を持つため、結婚というのは、究極の異文化コミュニケーションだと言えます。

日本では、結婚はゴールだという考えがありますが、私は、結婚は異文化コミュニケーションのスタートであると考えます。妻や夫という他文化を知ることが始まるのです。そして他文化を知ると、逆に自らの文化が見えてきます。相手のことがわかるにつれて、自分はこういう人間だったのかという発見があります。

他文化を知り、自文化を知り、多文化人間となる。その連続が現代の結婚なのではないでしょうか。このような現代の結婚において、最も大切なことは、「人間は、完全にお互いの文化を理解することはできない」ということを自覚することです。異文化コミュニケーションを行うには、この意識が出発点です。ともすれば、昔の日本のように夫婦とは結婚すれば一心同体であるという思い込みがありますが、これではコミュニケーションを行うことはできません。夫婦はお互いが異なる存在であり、異なる文化を持つということを意識することで、結婚後のコミュニケーションが活発に行われるはずです。

QOMには「自己PR力」「観察力」「仲良し力」「ケンカ力」「過去未来力」「境界力」の6つの重要なコミュニケーションの力が存在していますが、この分類は、結婚の幸福に関わるコミュニケーションが非常に良く網羅されているのではないかと思います。

特に「ケンカ力」というカテゴリはユニークです。夫婦にとってのケンカは「対立」というネガティブな側面だけではなく、むしろ「接点」だと考えられれば、ポジティブにお互いの共感領域をそこから広げていく行為だと認識できます。ゆえに「ケンカ」をコントロールする力はお互いを理解するのに重要であるといえます。ただし、どの力が最も大切だということはありません。全てのバランスが重要であると思います。例えば「観察力」で相手のことを知り、「過去未来力」で夫婦の将来が共有されれば、それが「自己PR力」にフィードバックされ、より明確に自分のことを相手に伝えることができるようになるというように、力は相互作用し正のフィードバックを行いながら循環していくものだと考えられます。

是非、みなさんにQOM診断を実際に体験し、カルチャーショックを受けてほしいと思います。夫婦とは究極の異文化コミュニケーションであることを自覚するきっかけになります。そのカルチャーショックは必ず夫婦のコミュニケーションを活性化させるに違いありません。